癒しを追及するカウンセラー・鈴木孝信の「心が強くなる心理学」

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ブレインスポッティングのセッションを紹介

   


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ブレインスポッティングの特徴が良く表れた1セッションを、相談者の方の了承を得て(プライバシー保護に考慮して)ご紹介します。

相談者は、別れると決めている異性との関係で東京多摩ネット相談室を訪れました。貸したお金を返してもらった時点で別れることになっており、分かれた後の人生を不安に感じていますが、それよりも相手の言動に酷く動揺しており「いちいちイライラする」という問題を抱えていました。また最近は早朝覚醒がひどく、睡眠不足でありながら仕事を続けています。

自分の好きなことにはお金を使い、相談者にはお金を節約するよう強要する相手の理不尽な言動を「理解できない」と感じ、また真面目に生きている自分と比較し「不公平」であるとも感じています。

相手のことを話しているうちに、相談者はイライラを感じ、同時に体が反応していることに気がつきました(動悸・早い呼吸)。セラピストにも、表情が固く怒りの様な感情がうちにあるようにも見えました。同時に、相手のことを話している中で、怒りを意識しているように思える時に、ある一点(ゲイズ・スポット)を見つめていることにも気がつきました。

セラピストは、視点の旨を指摘し、身体の反応の強さを尋ねました(SUDS10)。そこから、しばらくゲイズスポットを見つめて、瞬間瞬間開く自分の体験を見ているように促しました。

5分程のフォーカスト・マインドフルネスで、10のSUDSは1まで軽減。セラピストはさらに処理を促し、0になるまで処理を続けました。

問題に戻ってもSUDSは上がりませんでしたが、セラピストには相談者の身体的な反応に気づき、さらに処理を促しました。すると相談者の気づきの中では「何も起きていない」様でしたが、最初の場面から次に起きたことをセラピストが尋ねると「フォルダーから記憶が引き出されて再処理されてフォルダーに戻される」様な体験をしていると話されました。相手の過去の言動を現実的に理解しているという体験をされていたのです。それは身体的な処理が十分に進み、認知的な処理が起きていたということを意味していたのでしょう。

更に問題に戻りSUDSを絞り出すことを3-4度繰り返し、最終的に完全なSUDS0に至りました。ブレインスポッティングの「ゲイズスポッティング」という簡単な方法を使い、不確定性原理に基づき、推測をせず待ち、枠組みを維持することで、絞りつくされたSUDS0に至りました。

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同じ相談者の方でHRV(心拍変動)をブレインスポッティングのセッション前後で測定しました。環境的なストレス因子があり、調子が悪くかい離気味の相談者でしたが、案の定自律神経のバランスとしては、副交感神経が優位に働いていました。全体的な数値も低く、かなり抑制的な状態のようにも思えました。そして様々な疾患と相関のある問題のSDNNは33とボーア―ラインぎりぎりでした。

ブレインスポッティング後は、全体的に数値も高まり、副交感神経が優位なことには変わりありませんでしたが、SDNNが43まで改善していました。ブレインスポッティングが実際に心臓の働きをより健康的な働きに変えたという結果が得られました。

以上、ブレインスポッティングのセッションのご紹介でした。

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