癒しを追及するカウンセラー・鈴木孝信の「心が強くなる心理学」

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心臓は心の臓器: 心臓の機能(HRV)を高めるTFT療法

      2018/02/07

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まずは心臓の話しをしましょう。クライアントさんと話すと、驚かれるのが心臓のリズム。僕もそうでしたが、心臓は「ドク…ドク…ドク…」規則正しく動いていると思っている方が多いようですが、実はそれは誤り。細かいレベルでは、心臓が鼓動する速さにはばらつきがあります。心拍が変化して動くという意味で、心拍変動(HRV)と呼ばれています。このばらつきが高いほど健康であると言われる医学的な指標です。

医学では昔から知られていた指標ですが、それを高める方法が今まで見当たらなかったようです。そんな中、いくつかの心理療法でこのHRVを高められることが経験上分かってきたので、その1つをご紹介します。今回はTFT(思考場療法)といった、顔や上半身を軽く指で刺激していく方法です。

試験的測定

自分に対してTFTを行い、その前後の違いを比べてみました。TFT前後で変化があったのは次の3点です。

1:主観的に苦痛だと感じる度合い(これはあくまでも僕の感覚です)
2:SDNN
3:Total Power

1:主観的な苦痛
測定時、ちょっと落ち込み気味。気力がやや湧かず、だるさを感じながらの作業でした。その苦痛を数字で表したものが主観的な苦痛です。通常を0から10のスケールで苦痛を感じている人の感覚で数字にしてもらいます。今回僕が感じていた主観的苦痛は5程度です(0が苦痛がない。10がとても苦痛)。

この主観的な苦痛がたった数分で2まで落ちました。言葉でその感覚を表現すると、軽くなり、霧が晴れ、元気が出てきて、やる気が出てきた、といったところでしょうか。これは僕にとっては驚くべきことではありません。TFTは瞬時に問題を改善する可能性を秘めている心理療法です。クライアントさんを通じて何度も経験しています。

2:SDNN
SDNN。これが最も着目したい数値です。TFT前のやや落ち込み気味の時のSDNNが34.29。これがTFT療法後に58.67まで改善しています。

SDNNは健康上の色々な問題と関係があることが知られています。例えば低いSDNNは、乳児死亡、乳児突然死症候群、エイズ感染、がん、心臓血管病、冠状動脈症、多発性硬化症、糖尿病、神経障害、脳損傷、肥満、常習的麻薬使用、少年犯罪、成人犯罪、行動障害など、ギラン・バレー症候群(神経の病で死に至る)起立性低血圧などとも関連しているようです。またPTSD、パニック障害、不安障害とも関連していることが分かっています。

右下のドットの集まりのグラフは、SDNNを視覚化したもののようです。狭い範囲に集中しているほど、心拍に規則性があり、つまり低いSDNNを意味します。TFT後では、ドットの範囲が広まっており、これはSDNNが向上したことを示しています。

ちなみに、SDNN30以下が「低い」と考えられます。

3:Total Power
Total Powerの数値は、疲れに関連すると考えられています。そして今回の測定で、TFT前が539だったものがTFT療法後には1570と3倍近くになっていますよね。感覚的に体の重さや立ち込めていた霧が晴れ、疲れが解消したという体験から、Total Powerが疲れと関連していることが示唆されます。

結論として
TFTを通じて心拍変動の変化をみてみましたが、予想通りの結果がでてほっとしています。結論としては:
1:TFTは健康の指標だと考えられる心拍変動(SDNN)を改善する効果がある。
2:TFTの効果は心拍変動を測ることで客観的に知ることができる。

ついでに言うと、心拍変動の数値には思い込や強く信じる心は影響しないことが知られています。今後も、別の方法(Brainspotting、HRV Biofeedback)を使って心拍変動の変化をみてみたいと思います。いずれも僕の数千回のカウンセリングの経験上では数値が改善する方法です。クライアントさんが明確にカウンセリングの効果を理解し、問題解決に役立てられるよう、研究を続けたいと思っています。

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