癒しを追及するカウンセラー・鈴木孝信の「心が強くなる心理学」

鈴木孝信が贈る、欧米の最先端心理療法に基づいた、読むだけで心が強くなる心理学情報ブログ

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カウンセリング(心理療法)にはなぜ効果があるのか?

   

new year
(相談室屋上から見えた光景)

あけましておめでとうございます。
気がついたらブログの更新が○ヶ月ぶりになっていました。
今年こそ、仕事を抱えられるキャパを伸ばすべく、もう少しまんべんなく仕事をして行けたらと思っています。
その1つが、このブログで、たくさん書きたいと思うことがあっても、実際打ち込んでいるのはその10%にも満たないので、頑張って更新し、心理臨床に向ける僕の思いを是非お伝えしていけたらと思っています。それで救われる人もいることも僕は知っているからです。

ということで、昨年から温めていた記事を書きたいと思います。

Building better counselors


アメリカ・カウンセリング協会というカウンセリングの権威を持つ団体のオンラインコンテンツのリンクです。
昨年の11月6日UPの記事で、かなり新しいものですが、セラピーにおける本質をついているので、その内容と絡めながらセラピーに関してお伝えします。

【カウンセリング(心理療法)はなぜ効果があるのか?】

心理臨床の世界でも「大きな議論」となっているテーマです。多くの臨床家、そして一般の人が「方法」にその原因を見いがちです。うつ病なら○○療法が良い。▽▽療法より××療法の方が効果がある、等です。
これは心理臨床が発展してきた過程で、医学を真似て発展してきたことに理由があります。医学は、原因を特定して、その原因を解決するというアプローチです。その考え方に沿っていると多くの人が考えるので、例えばうつ病の原因は分かっていて、その原因を解決するような方法を探せば治る、そう信じられがちです。

でもそれは微妙なラインなんですね。心の問題は、おそらく現代科学の程度では、原因を特定することはまず不可能なのが事実であると僕は考えています。要因(うつ病と関係がある1つの原因)はいくつも見つかると思います。ただそれは因果関係が成り立つことも分からないし、程度の問題もありますし、おそらくそういった要因が幾万もあるのかもしれません。

なので「大きな議論」が今も巻き起こっているのです。つまり、なぜカウンセリング(心理療法)に効果があるのか。医学の様に明確な原因が不明な様であれば、その解決策も見当たらない。それでは、その原因を解決すると主張する

「方法」は本当は何をしているのか?

原因→解決策が成り立たない心理臨床が事実である根拠はたくさんでいています。多くの研究で支持されている研究結果として、どの「方法」であっても、さほど治療効果は変わらない、という知見は広く行き渡っています。特定の心の悩みでは特定の「方法」に効果がある、とも言われます。それはある程度支持されていますが、ただそれでも「方法」によってさほど大きな違いはないと多くの根拠が物語っています。
では、なぜ効果があるのか?

その答えに関係するような内容が、リンク先の記事にはあるのです。それは「関係性」です。カウンセリングにおいて、カウンセラーとクライアントの間で構築される良い関係性、それが治療効果を作り出している。そう考える理論(contextual model)が存在し、支持を集めています。

60年程時代を遡ると、その時代は心理職の人なら誰でも知っている偉大な治療家が活躍していた時代です。彼はカール・ロジャーズと言い、現代心理臨床に大きな影響を与えた偉人の一人です。彼は、人の力を信じ、悩みを抱える人には自身で問題を解決する力があると信じ(それには条件が必要ですが)その条件を整えてあげることがカウンセリングで行うことだと主張し、臨床を行いました。これが誰でも知る来談者中心療法です。彼の主張によると、大まかに言って、この条件と言うのが「良い関係性」なのです。

そして記事には、具体的な根拠ある(研究によって支持されている)「良い関係性」の色々な側面が述べられています。それらをご紹介しましょう(専門用語が出てくるのでかなりかみ砕きます)

・カウンセラーの「言っていること、感じていること、考えていること、身体の反応、やっていること」が一貫している(口先だけではない)
・相談者がカウンセリングでどう振る舞えば良いのか(カウンセラーとどういう関係でいれば良いのか)分かるように、カウンセラーは説明したり示したりする。
・カウンセラーは否定せず、無条件に前向きに優しく相談者と関わる。
・カウンセラーは相談者を理解し共感する。
・カウンセラーは人間としての違いを尊重する。
・カウンセラーは相談者と協力して問題に取り組む姿勢を持つ。
・カウンセラーは進歩(改善)を丁寧に確認する。
・いったん悪くなった関係性であってもカウンセラーは修復のための努力をする。

こういった関わりのあるカウンセリング関係に効果があると多くの研究では指示されており、それこそがカウンセリング(心理療法)に効果がある理由なのでは、とも考えられています(もちろん「方法」に全く効果がないということではありません。)。

僕はある特定の方法(ブレインスポッティング)のトレーナーとして、この「方法」を広めていますが、それは僕にとっては(関係性に意味があるという話の流れで)まったく矛盾のない活動をしています。というのは、この「方法」は治療効果があると言われる「関係性」の力を最大限に引き出す「方法」だと信じているからです。それを実証するのが僕の役目だと思っています。

こんな話でこの一年をスタートしていきたいと思っています。
今年もよろしくお願いします。
2018年1月8日

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