癒しを追及するカウンセラー・鈴木孝信の「心が強くなる心理学」

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セラピー空間という安全空間

   


二重同調20160417

トラウマを処理し、大きな癒しをもたらす心理療法「ブレインスポッティング」のワークショップを4月17日に行いました。

ブレインスポッティングは、セラピストがクライアントに、優しさと自信をもって十分に注意を払っている状態であることが大事で、それが効果に大きく影響を与えます。セラピストがクライアントに十分に注意を払い続けていけるよう、集中と観察を高める「マインドフルネス」をこのワークショップではテーマとして取り上げました。

今回のWSのテーマは、別の言葉で言うと「安全空間を作り出す」ということだと思えます。
心に深く傷を負ったクライアントは、安心できる場所がありません。危険が記憶の中に刻み込まれているので、どこに行っても何をしていても、常に危険に引きずり込まれる可能性を秘めているからです。

セラピーの役割の1つは、クライアントが危険から逃れることが出来ないことを理解したうえで、それに向き合い、危険な記憶を危険でない記憶へと書き換えていくことにあります。そのためには、すくなくとも、セッションの枠組みという短時間だけ、セラピストはクライアントが自らの中に潜む危険な記憶に、自ら立ち向かえるだけの安全空間を作り出す必要があります。その空間にいるクライアントの脳は、自己実現するような最大限の働き方をするのです。

この安全な空間は、クライアントの脳の働き方を理解した上で、そこに働きかけていくことで築かれていきます。つまり、感情の渦を抑制するための脳を働かせるための脳神経学的な配慮、危険な記憶1つだけにフォーカスするための脳を働かせていく生理学的な手続き、また記憶が更新されていきやすい脳状態にしていく関係性の気遣い、こういったことがとても重要なセラピストの課題となります。

そしてこの安全な空間は、僕が知りえる限りで言うと、ブレインスポッティング以外では起こりえない空間です。セラピーで最も大切な「安全な空間」をしっかりと作り上げていける方法、それがブレインスポッティングであり、今回のWSのテーマだったのです。ブレインスポッティングという1つの方法を通じて、セラピーの重要な要素の1つを語れた様に感じられるWSでした。

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